確か、小学五年生のとき。

ずっと雨が降っていて、きっと六月。

気圧の変化で、体調を崩す人が多くいた。


私も、その一人で。

急な低気圧で、ひどい頭痛がしていた。

その日は水分もあまり取っていなくて、その上貧血も重なった。


そのせいで、一瞬意識を失ってしまったんだ。

だけど、私の体調不良にいち早く気づき、倒れかけた私を受け止めてのが他でもない祐月だった。




「先生、桜楽が倒れた」




意識はおぼろげだったけど…私を受け止めてくれた祐月の、真剣な横顔に、初めて胸が高鳴ったんだ。