流空は祐月だけを見て、言う。





「桜楽は渡さない」






流空の言葉に、無表情だった祐月は―――にやりと口角を上げた。


ゆ、祐月…。

肝が太いし、祐月らしいといえばらしいけど…。


完全に黒い笑みを浮かべていらっしゃるっ…。


そして祐月もマイクを口元に当てた。




「私情を挟むことになり、申し訳ない。俺からも謝罪する。
だが、俺は彼女を流空に渡す気はない。」



冷徹に、淡々と。

団長として、そして祐月としての言葉が校庭に響く。




「それにな、流空。」