「ちょっと待って」



冷静な流空の声が聞こえた。

そっと流空の方を見ると、さっきまでとは打って変わって、無表情になっている。



「…流空」




本当は、すごく申し訳ない。

何度も告白してきてくれたのに、何度も断ってしまって。

それに、告白してたときに別の人に告白なんてして。

傷つけちゃっただろうな…。



「ねぇ祐月」



流空が語りかけたのは、祐月の方だった。


流空の赤いハチマキが揺れる。



扉の外から風が吹いてきて、祐月の青い袴も衣擦れの音を立てた。



二人の団長が、相まみえている。