この街は、俺が生まれ育った街とは雲泥の差だった。

まさに田舎。

俺にそう言わしめたこの街。

学校に通ってからも、その印象は変わらなかった。



俺は人間が嫌いだ。



引き取られたときに何度も感じた視線と感情。


「可哀想に」「変な奴」「貧乏神の子」「助けたい」「哀れ」



うるさい。

俺は可哀想じゃない。変な奴でもない。


俺はあそこから逃げたんだ。


俺をそんな目で見るな。



俺に向けられる善意の奥に、そんな同情が隠れている気がして。

何も信じられなかった。



学校でもそう言って、俺に近づく人間すべてを遠ざけた。


でも、桜楽だけは――懲りずに何度も俺に近づいてきた。