こんなに思われていたなんて…気づかなかった…。

いや、流空が気づかれないようにしていたのかな…？

流空は誰よりも優しいから。



―――その優しさで、流空はここまで歪んでしまったんだ。




「桜楽の恋人になりたい。桜楽の彼氏になりたい。あわよくば…俺と結婚してほしい。」




そのために、俺は何だってする。




その目は、冗談を言っているようには見えない。


なら。


私には気になることがあった。

流空はまるで、祐月が私をふってしまうことをあらかじめ知っていたみたいだった。



「ねぇ、流空…」

「どうしたの？」




いつものように、屈託のない笑顔で渡しを見つめる流空。

表情がコロコロ変わって…どこか掴めない。




「祐月のことは…どう思っていたの？」



私が見ていた限り、流空と祐月は仲が良さそうだった。

お互いがお互いのことを褒め合っていたし、いつも一緒に喋っていたから。

流空は、親友の祐月を騙そうとしたの…？