流空はそう言った。
突然だな…。
私も好きだ。流空は。
だけど、友達として。
―――流空は…?
流空のこの表情。そして「好き」という言葉。この状況。
この3つの情報から、嫌な予感が私の中で警笛を鳴らす。
私の身体は、それに反応できない。
「桜楽が好き。好きすぎて、もうおかしくなりそう。
祐月に渡したくない。祐月にも、誰にも。
どんな方法を使ったって、桜楽が俺の隣にいてくれたらそれでいい」
早口でまくしたてるように言う流空。
さっきまでの笑顔は消えて、まるですがるような、不安げな表情になっている。
「祐月と正々堂々勝負して、勝てるとは思わなかったんだ。
だって、俺が祐月に勝てるところなんて、ある?祐月は完璧だよ。
運動も勉強も態度も、何もかも。今も桜楽は祐月のことが好きなのに。」
それは言い逃れしようのない事実だった。
流空の苦しげな表情から、そのことが読み取れる。
涙を流すような、苦しげにささやくように声で流空は私に言う。
「親友じゃ嫌だ。一番の友達じゃ、嫌だ…。
俺は桜楽の特別がいい。桜楽が俺の、特別な人であるように。」
私の、特別。
私の特別な人は、好きな人は…今でも祐月のまま。
それが、流空を苦しめてしまったのかな…。
歪んだような流空の思いを身に受けて、私も唇を噛みしめる。