心配事がなくなりリラックスしたのか、美和子は砕けた口調で世間話を始めた。

「こういうトラブルがあったときに、そばに頼れる彼氏がいたらなあってしみじみ実感しちゃう。」

「ですね。同感です。」

「岡咲さんみたいにしっかりしていて、ひとりでなんでも出来る女性に憧れるなあ。」

「そんなことないですよ。私も失敗ばかりです。」

「そういえば・・・岡咲さん、婚活は進んでます?」

美和子の言葉に渚は大きく首を振った。

「全然です。ここのところずっと忙しかったので・・・。堀内さんは?」

「私もです!なかなかいい人に巡り会えなくて。ルックスがタイプだなって思っても性格が合わなかったり、いい人そうだなって思ってもいまいちときめかなかったり。」

「恋人選びとお部屋選びは似ているかもしれませんね。全ての条件が満たされる彼氏も物件もそうそうタイミング良く現れないものです。」

「優良物件は人気高いですもんね。」

「うちの母が言っていたんですけど、結婚はフィーリングとタイミングなんだそうです。恋も物件もこれだ!ってビビッときたら、チャンスを逃さず掴まえることが決め手なんでしょうね。」

「そのことなんですけど・・・」

美和子が声をひそめて言った。

「前に岡咲さん、スイーツ作りが得意な男性が知り合いにいるって言ってたじゃないですか。」

「え?ええ・・・」

渚は湊の顔を思い浮かべた。