そんな二人を見た美里はいたずらっ子のような顔になった。

「あらあ?あなたは・・・えっと・・・岡咲さん・・・よね?」

「・・・はい。」

「やっぱりあなたと湊君、お付き合いしてたのね!そうじゃないかなって思ってたの。湊君って口は悪いけどいい子なのよ。湊君、今度は長続きするといいわねえ。湊君って見栄えはいいけど不器用だしちょっと不遜なところがあるでしょ?彼女が出来ても3ヶ月もたないのよ?でも岡咲さんとは長く続きそうな気がする。私、そういう勘がビビッと閃くの。」

「・・・・・・。」

「でも不思議ねえ。仕事場へ帰ったつもりだったのに、なんで湊君のマンションにいるのかしら・・・。私、最近記憶がぽっかり無くなってしまうことがあって・・・困ったわあ。」

そうコロコロと笑う美里を渚と湊は無言でみつめた。

どうやら美里は湊のマンションへ帰ったはいいものの、いつの間にか木之内惣の人格へ戻ってしまったらしい。

「木之内先生・・・さっき連城さんの家の前までいらっしゃったこと、覚えてませんか?」

渚が発した『連城』というワードに美里はピクリと反応した。

「連城・・・?」

すると美里は急に顔色が悪くなり、呼吸が荒くなった。

激しく震える美里の身体を湊が支えた。

「連城・・・連城・・・知らない・・・連城なんて名前、私知らないわ・・・」

その姿に渚はただ身を竦ませた。

「わかった。わかりました。木之内先生、少し横になりましょう。」

湊がそう言って美里をなだめた。

「ごめんなさい。偉そうなこと言ったくせに、私なにも出来なくて・・・」

渚が謝ると、湊は首を小さく横に振った。

そして湊は美里を抱えながら、寝室へと消えていった。