「栄養補助食品は忙しくて食事を満足に食べられなかった人間が口にするものなの。けっして大盛りカツ丼をしっかり食べた年頃の女が口にするものじゃないの。ましてやダイエット中の女がおやつに食べていい代物じゃないの!」

「渚先輩、そんなに興奮しないで。あ、先輩も食べます?」

そう言って美々はチョコレートバーを渚の目の前に差し出した。

「誰のために興奮してると思ってんの?そんなんじゃ彼氏も出来ないわよ?!」

「彼氏がいない渚先輩にそう言われても説得力ないっていうかあ。んじゃあ、このチョコレートバー、いらないんですね?」

「誰がいらないって言った?ありがたくもらっておくわよ。」

渚は差し出されたチョコレートバーをさっと掴み取った。

「先輩、私もうダイエットやめたんです。」

美々が悪びれもせずそう言うので、渚はまたもや厳しい顔をした。

「どういうこと?そんな意思薄弱なことでは彼氏なんか」

「聞いてください!私、彼氏出来たんです!」

「・・・は?」

渚は手にしていたチョコレートバーをぽろりと床に落とした。

「そ、そんな話、聞いてないわよ?」

「渚先輩にはずうーっと言おうと思ってたんですけど、なんとなーく言いづらくてえ・・・。ほら、渚先輩ずうーっと独り身だから申し訳なくてえ。でも実は一ヶ月前に彼氏が出来たんですよお。彼氏がダイエットなんてしなくていい・・・そのままの美々ちゃんでいいよって言ってくれたんですう。」