「いいのいいの。こっちこそ、いい物件がみつかって喜んでいるんだから。」

しかしどうしてこの物件を購入しようと思ったのだろう・・・?

そんな疑問が渚の頭に渦巻いていたが、こちらから立ち入ったことを尋ねるのも憚られた。

とりあえず渚は無難な質問をぶつけてみた。

「あの・・・これは今後の参考にさせて頂きたくお聞きしたいのですが・・・」

「なんでしょ?なんでも聞いて?」

「どちらの不動産サイトでこの物件をみつけられたのですか?」

「ああー・・・」

小川は少し間を置いたあと、渚の顔をじっとみながら軽く言った。

「実は先日後輩と食事に行ったんだけどね。そいつが僕の好きな神戸牛のステーキを奢るなんて珍しいことを言い出したもんだから、僕もいそいそとそいつの誘いに乗ったわけよ。」

小川はナイフとフォークでステーキを切る仕草をしてみせた。

「そこでね、このマンションの話を聞いたわけ。」

「そうだったんですね。」

口コミだったんだ・・・

営業をかけたお客様からの紹介?

渚が考える間もなく、小川のマシンガントークは続いた。