ビールから梅酒ロックへ飲み物を変えたタイミングで、湊は突然真面目な顔になった。

「そろそろ本題に入ってもいいか?」

「本題?そうか、忘れてた。あなた私になにか話があるんだったっけ?」

渚はほろ酔い気分な自分を引き締めた。

「実は・・・奈央のことなんだが。」

「奈央君・・・ね。元気してる?」

「お前が宿題を見てくれた次の日のテストは満点だった。そんなことは初めてだ。」

「ふーん。たまたまじゃない?あの子はやれば出来る子よ?」

「そうだ。奈央は地頭はいいんだ。実際興味のあることにはものすごい集中力と記憶力を発揮する。しかし学校の勉強となるとモチベーションが上がらないらしい。俺が勉学の大切さを辛抱強く説いても聞く耳を持たない。それになぜか俺は奈央に嫌われている。」

「まあ、そうでしょうね。あなた、性格悪いもん。」

「どこがだよ?」

「自覚がないって怖ろしいわぁ」

「俺は誰よりも奈央のことを考えているのに。」

渚はお酒の力もあり、思い切って踏み込んでみた。

「立ち入った質問するけど、いい?」

「答えられる範囲なら答えてやってもいい。」

「奈央君の家族構成はどうなっているの?あなたのことは叔父さんだと言っていたけれど。そして母親はいないようなことも。」