二人の元へビールジョッキが届き、湊がそれを掲げた。

「まずは乾杯するか。」

「何に乾杯よ?」

「お前の仕事の成功と・・・我々の再会に。」

「我々の再会に・・・ねえ。ま、いいわ。今日の私は機嫌がいいの。じゃ、乾杯!」

「乾杯。」

渚と湊はグラスを合わせ、ビールで喉を潤した。

「ぷふぁあああー生き返った!」

よく冷えたビールを豪快に飲む渚を見て、湊は苦笑した。

「初めて食事した時のお前とは大違いだな。あの日のお前は始終澄まし顔で、受け答えもおしとやかで大人しそうだったのに・・・。まったく詐欺もいいとこだ。」

「そう?将来の伴侶になるかもしれない人との第一印象は大事でしょ?あなたこそ始終穏やかで寛容な男ぶっちゃって。それこそ詐欺よ。」

「もう猫はかぶらないのか?」

「だってこの間のデートで、付き合う可能性はお互いナシってわかったわけでしょ?連城さんと私は価値観がまったく違うんだもの。いまさら可愛い子ぶったって仕方がないじゃない。お互い本性を出して話しましょうよ。」

「ははは!それもそうだな。」

渚の忌憚なき言葉を受け、湊は楽しそうに大笑いした。