「さっきからこのクロスワードパズルを解いてるんですけど、どうしても解けない問題があるんです。お姉さん、手伝ってくれませんか?」

「うん。いいよ。」

渚もそのクロスワード雑誌を覗き込んだ。

「まずこれですが・・・中居正広、木村拓哉、草彅剛、稲垣吾郎、香取慎吾の5人からなる国民的アイドルクループは?」

「簡単よ。スマップ!」

「へえ。この5人、同じグループだったんですね。知らなかった。」

奈央はそう感心しながら、マス目にス・マ・ッ・プと文字を埋めた。

「奈央君、本当にスマップ知らないの?」

「はい。知りません。」

「世界に一つだけの花とか」

「ああ!その歌なら教科書に載ってます。」

そうか・・・令和の少年はスマップのリアルタイムを知らないのか。

私はやっぱりもうオバサンなのね・・・。

渚は自分と奈央とのジェレネーションギャップを思い知らされ少しへこんだ。

そんな渚の内心など気にせず、奈央は次なる問題を読み上げた。

「気分が明るくはずんでいる様。○○○○気分。」

マス目を見ると、2マス目と4マス目がともに「ん」で埋まっている。

「ランラン・・・リンリン・・・ルンルン!ルンルンだと思う!」

「あっホントだ。ルンルンだと上手くはまります!」

少年も興奮気味にそう叫び、文字をマス目に埋めていく。

続けて問題を解いた渚は楽しくなってきて、少年の方へ身を乗り出した。

「次いこう、次!」

渚に急かされて、少年は再び大きな声で問題を読み上げた。

「セイコウ、を英語で言うと?」

「セイコウ・・・性交?!どんな問題よ!出題者どういうつもり?」

そう憤る渚を不思議そうに眺めた後、奈央はあっと声をあげた。

「victory・・・ビクトリーだ!」

「あ・・・成功の方ね。あはははっ」

渚はそう笑ってごまかした。

「渚さん、何と勘違いしてたんですか?」

「いいのいいの。気にしないで。」

「そうですか?では次の問題に移りましょう。」

「いいよ?こうなったらお姉さん、とことん付き合っちゃう。」