彼氏作りなよとか結婚したらとか、アイスクリーム買ってきなよみたいなノリで簡単に言わないで欲しい。

そりゃ夏海は付き合って3ヶ月で出来ちゃった婚して、恋愛、結婚、妊娠、出産を高速で走り抜けたんでしょうけど、私はそんなに器用じゃないの。

そうふてくされたまま黙り込む渚を、汐子はさらに追い込んだ。

「隣の美鈴ちゃんは来年の秋に結婚だって。パート先のここみちゃんも3ヶ月後にはママになるし。さて渚はいつになったら可愛い孫を抱かせてくれるのかしらね?」

「お母さんまで私を急かさないでよ。私は夏海と違ってそういうことはじっくり考えてから行動にうつすタイプなの!」

「そう?じゃあ結婚する気はあるってことね?お母さん心配してたのよ?渚がおひとり様でいい、なんて言っているのをずっと聞かされていたから。」

「それは・・・いい人がいれば私だって・・・。」

「ふふふっ。楽しみだわあ。」

そう言うと汐子は冷めたお茶をズズズッと飲み干した。

ああ、どこに行っても彼氏を作れ、結婚しろと責められる。

でも私ばっかり盛り上がっても、肝心の相手がいないんじゃ仕方ないじゃない。

ねえ、どこにいるの?私の王子様。