気楽なおひとり様を貫こうと思ってはみるものの、本音をいえばやっぱり恋のトキメキが欲しい。

しかもとうとう美々にまで先を越されてしまった。

美々だけは私と同類だと思っていたのに。

ちょっと前までは渚も合コンに進んで参加していた。

けれどなぜか渚を落とそうという男は出てこず、渚からアプローチしたい男も現れない。

スタイル維持には力をいれているし、ナチュラルメイクで透明感には気を遣っているし、正直容姿は並の上だと自負している。

なのになんで?どうして彼氏が出来ないの?誰か教えてよ・・・

そんな渚の心の声が聞こえたかのように、その答えを美々は端的に言葉にした。

「渚先輩は私と違ってスタイルもいいしオシャレだし、顔だって可愛い。なのにモテない。どうしてか自分で自覚してますか?」

「・・・さあ?自覚してたらこんなことにはなってないわよ。徹底的に対策を練って彼氏をゲットしてみせる。」

「そういうところですよ。恋は仕事とは違うんです。渚先輩はなんでもズバズバ言いすぎなんですよ。相手の急所を的確に正論で突いてしまう・・それじゃあ男性は引いてしまいます。例えば男性が夢を語るじゃないですか。そういう時は相手に合わせて素敵ですねーって言っておけばいいんです。」

「だって・・・現実的なプランもないのに大きなことばかり語っているのを聞くとイライラするのよ。いつまでに、どういう計画で、どれだけのコストをかけてその夢を実現するかまったく考えてないなんて甘過ぎない?」

「だからそういうとこですよ!」

「でもそれが私なの!」

渚は美々が肩を竦め大きな口で焼き鳥にかぶりつくのを見ながら、グラスに残っていた芋焼酎霧島をグイっと飲み干した。