湊の言葉がにわかには信じられなかった。

自分の主張を一切曲げなさそうな湊が、共稼ぎでもいいって言ったの?

途端に、渚の目から涙が溢れた。

昨夜散々泣いたのに、涙が止まらない。

でも昨夜の涙とはまったく違う・・・それは嬉し涙だった。

渚は当然の如く答えた。

「そんなの・・・・・・即決に決まってる・・・」

「そうか。」

「うん。」

「泣くほど嬉しいか?」

「うん。」

渚の涙を湊が指で優しく拭った。

「珍しく素直だな。」

「いいでしょ?こんなときぐらい素直になっても。」

「こんなときだけでなく、いつも素直になってもらいたいもんだ。」

渚は鼻をすすりながら、念を押すように湊に聞いた。

「本当に共稼ぎでもいいの?」

「俺は何事にも真摯に向き合うお前が好きだ。もちろん夢中で仕事をするお前もな。」

「ありがとう・・・。私も不器用だけど優しい湊が好き。」