枯れ葉が舞い散る晩秋の夕、渚は栄文社の真向かいにあるファーストフードの二階の窓際に座り、湊が社外へ出てくるのを待つことにした。

もしかして湊は泊まり込みで残業するかもしれない。

他の社員と一緒にどこかへ出掛けてしまうかもしれない。

もう出先から直帰してしまったかも・・・。

しかし渚は何時間でも待つつもりでいた。

今日が駄目なら湊が捕まるまで何日でもこうするつもりだった。

湊の気持ちが堀内さんへ傾いていることは百も承知だ。

でも・・・どうしても自分の気持ちを伝えたい。

果たして湊は23時過ぎに栄文社の出入り口から一人で出てきた。

濃紺のスーツにいつものブリーフケースを持ち、足早へ歩いていく。

渚は湊の姿をみとめると、急いでファーストフードを出て、湊の背中を追った。

湊を見失わないように渚は走った。