和樹に格好良いことを宣言したにもかかわらず、渚は湊に自分の本当の気持ちを伝えることが出来ずにいた。

仕事が忙しくて予定が立たない。

今更告白したって意味が無い。

色んな理由を並べて自分が動かない理由を正当化してみるけれど、本当はただ勇気がでないだけだった。

それに・・・何もしなければ、きっと友達のままでいられる。

言いたいことを言い合える友達として、湊と付き合っていけばよいのではないだろうか。

もし湊の心が堀内さんに移ってしまったのなら、私はふたりの仲を引き裂こうとするお邪魔虫でしかない。

そんな屈辱に私は耐えられるの?

渚の心は波間に浮かぶ月の影のように揺れ動いていた。