「・・・・・・え?」

思ってもみなかった和樹の言葉に、渚は息を吞んだ。

「え?ちょっとまって?宗像君て、いまいくつだっけ?」

「27です。」

「私、もう30歳だよ?3歳も年上のオバサンだよ?」

「3歳くらいどうってことないです。今は恋人同士が10歳以上離れていてもおかしくない時代です。」

和樹はそう言って手の平を広げ、10本の指を立ててみせた。

「そうは言ってもね・・・」

「渚先輩は俺のこと嫌いですか?」

「嫌いじゃないよ?むしろ好感度高いよ?でも・・・私、宗像君のことそんな風に見たこと無くて・・・ごめん。」

「じゃあこれから俺のこと、そういう対象として考えてくれませんか?」

「・・・・・・。」

「とりあえず一回デートしてください。お願いします!」

そう頭を下げる真っ直ぐな和樹の言葉が、沈んだ渚の心に温かく染み渡った。

「わかった。わかったから・・・顔をあげて?ね?」

「やった!」

和樹は顔をあげ、ガッツポーズを決めた。

「渚先輩、どこか行きたいところありませんか?」

和樹の問いに、渚はしばらく考え、そしてつぶやいた。

「・・・ジェットコースターで大きな声を出して叫びたいかも。」

「じゃあ、決まり!遊園地に行きましょう。」

そう言って和樹はにっこりと笑った。