渚は湊の自分をみつめる視線が熱を帯びていることに気づき、ふたりの間を漂う甘いムードを吹き飛ばすかのように、話題を変えた。

「ねえ湊。聞いてもいい?」

「なんだ。」

「湊ってなんでマッチングアプリなんかで彼女探してるの?他にもいろいろ方法はあるでしょ?社内恋愛とか、あとお見合いとか!」

渚の問いに湊は腕を組んだ。

「社内恋愛なんてまっぴらご免だ。わざわざ社内にゴシップを提供する意味がわからない。それにいいと思う女もいないしな。」

「お見合いとかは?」

「・・・・・・。」

「いま、マッチングアプリはどんな感じ?」

「お前の方こそ、まだ婚活してるのか?」

湊の強い言葉に渚は小さく首を振った。

「私のことはいいの。いまは湊のことを話したいの。」

「・・・マッチングアプリは退会した。もう必要ないからな。お前・・・さっきから何が言いたいんだ?」

渚は少し間をおいたあと、思い切って湊に言った。