「あ、りがとう……」


どうして急に褒めてくれたのかは分からないけど――宇佐美くんが、すごく優しい顔で笑っているから。

心臓はドキドキうるさいのに、胸の中にほわってあったかい感情も広がって、不思議な気持ちになってくる。


「おーい、私たちもいるってこと、忘れないでよー」


私の右隣に座っていた夏美ちゃんが、ニヤニヤした顔で囁いてくる。

ちなみにつっこちゃんと蓮見くんは、夏美ちゃんの右側にある別のベンチに座っているため、多分私たちの会話は聞こえていない。


「わ、忘れてるわけないよ!」

「ふふ~、ほんとかなぁ?」

「ほ、ほんとだよ!」

「うむ。それならよし!」


夏美ちゃんは楽しそうに笑いながら、私と宇佐美くんの顔を交互に見つめてくる。

またまた盛大に勘違いされているし、完全に揶揄われているだけだって分かってるんだけど……夏美ちゃんの笑顔がすごくかわいいから、まぁいっかって思えて。


赤く染まった顔のまま、私もつられて笑みをこぼしてしまった。


そして、そんな私の横顔を、宇佐美くんが愛おしそうなまなざしで見つめていたことなんて――当然私が知る由もなかったし、それに気づいたのは夏美ちゃんだけだった。