「小夜―! おっはよ! あ、宇佐美もおはよ」
「つっこちゃん、おはよう。今日も元気だね」
「当ったり前じゃん! 久しぶりの小夜とのデートなんだからさ! それに今日は夏美ちゃんもいるしね!」
「ふふ、私も今日はすっごく楽しみで、昨日は中々眠れなかったよ」
「え、何それかわいすぎか?」
つっこちゃんとそんなことを話していれば、時間ぴったりに夏美ちゃんと蓮見くんもやってきた。だけど蓮見くんは、何故か右手にスーパーのビニール袋をぶら下げている。
「え、蓮見それ……何?」
つっこちゃんの突っ込みに、蓮見くんは頬を人差し指でかいて困った顔で笑う。
「実は、さっき大荷物を抱えてるお祖母ちゃんがいてさ。フラフラしてたから途中まで荷物を持つのを手伝ったら、お礼に持っていけって」
袋の中を覗いてみれば、中には大きなみかんがゴロゴロと入っている。
「いやウケるんだけど。ってか蓮見、アンタってまじでいい奴だね」
「いや、偶然目に留まっただけだし、俺なんて全然だよ」
手助けしたことを自慢することもなく、むしろ謙遜している蓮見くんは、つっこちゃんの言う通り本当に優しいと思う。