「いや~、ほんっとに白熱した試合だったね!」


つっこちゃんがモップがけをしながら、興奮冷めやらぬといった様子で言う。

その言葉に、夏美ちゃんはコクコクと頷く。


「ほんとに! それに、二人に取り合われてる小夜ちゃん、少女漫画のヒロインみたいだったよね」


夏美ちゃんは目をキラキラ輝かせながら、「私としては、幼馴染のよしみで遥翔を応援してあげたいところだけど、大賀美くんもイケメンで優しそうだったし、ふんわりした小夜ちゃんともお似合いだと思うんだよね。えー、迷うなぁ……!」と、何やらぶつぶつ呟き始めてしまった。


「取り合われるって……あれは、そういうのじゃないと思うんだけど……」


私はニ十分ほど前に終わったばかりの、練習試合のことを思い出す。