――見ててって……宇佐美くん、どういう意味で言ったんだろう? というか今、私の頭、なでたよね? ……え、何で?


今日は宇佐美くんも、スタメンとして試合に出るらしい。朝、顧問の先生から発表されていた。

でも、実は私は、宇佐美くんがバスケをしている姿をちゃんと見たことがない。

応援に行ったことのあるクラスメイトの女の子たちが言うには、宇佐美くんはバスケがすっごく上手で、思わず叫んじゃうくらいにはカッコいいらしい。

でも、残念ながら今はGW中で、いつも宇佐美くんを応援している女の子たちの声援はない。

だからその分も、私に応援しろって意味で言ったのかな?


宇佐美くんに告げられた言葉の意味を考えながらも、さっきの笑顔を思い出してしまえば、今更になって身体がじわじわと熱を持ち始める。

片手でパタパタとあおぐ仕草をして顔の熱を冷ましながら、体育館を出てすぐの所にある水飲み場まで来た。


屈みこんでジャグを洗っていれば、複数人の男の子たちの声が近づいてくる。

どうやら、花乃宮中学のバスケ部が到着したらしい。