「……夏目さんも無事だったことだし、とりあえず進もうか」

「はぁ、やっと追いついた……!」


蓮見くんに声を掛けられたそのタイミングで、ようやく階段を上がってきたつっこちゃんも合流した。

脅かし役の子は別の場所に隠れると言うのでその場で別れて、四人で二年四組の教室と三階にある音楽室に向かい、そのまま一緒に玄関前まで戻ることになった。


歩きながら宇佐美くんをチラリと見れば、彼も私のことを見ていたらしい。

バチリと目が合ってしまう。


そして、優しく目元を細める宇佐美くんの、柔らかな表情に――私の心臓が、またトクトクと速く脈打つのが分かった。