「えっと、あの……宇佐美くん。助けてくれて、本当にありがとう」


ふぅっと息を吐いて心を落ち着かせてから、まだきちんとお礼を伝えていないことに気づいて、感謝の言葉を口にした。


「……うん。どういたしまして」


ふわりと優しく微笑む宇佐美くんの表情を間近に目にしたら、私の心臓は、またうるさいくらいにドキドキと音を立て始める。


宇佐美くんは私のこと、嫌っているはずなのに……どうして助けてくれたんだろう。

心配してくれたんだろう。


さっきの宇佐美くんの表情が嘘じゃないって分かるから、だから、余計に分からなくなる。


――どうして宇佐美くんは、嫌っているはずの私にも、こんなに優しくしてくれるんだろうって。