「えぇっと……夏目さん。やっぱりくじ交換、やめよっか」


私と宇佐美くんの顔を交互に見ていた川中さんは、空笑いを浮かべてそう言うと、自身で引いたくじを手にしたまま廊下側の席に向かっていってしまった。


「え、いや、ちょっと待って……」

「夏目さん、行こ」


宇佐美くんに腕を掴まれたまま、私は最後列の窓際の席に連れていかれる。

机の前で立ち竦んでいれば、宇佐美くんに無言の圧力をかけられて……私は大人しく、自身で引き当てた席に腰を下ろした。


「これからよろしくね」

「……あ、うん」


私の隣の席に座った宇佐美くんの頬は、もう涙に濡れてはいない。真顔で声を掛けられて、私は小さく頷いて返した。