「……だ、だだ、大丈夫!」


慌てて離れようとしたけど身体がふらついてしまって、また宇佐美くんの腕の中に逆戻りする羽目になってしまう。


「お前、階段近くで危ないだろ!」

「わ、悪い! まさかこんな驚いてくれるとは思ってなくてさ……!」


上段にいる蓮見くんが、脅かし役の男の子に注意している声が聞こえてくる。

階段を下りてきた男の子は本当に申し訳なさそうな表情をして「夏目さん、ごめんな」と謝ってくれた。


「というか遥翔、追いつくのが早すぎない?」

「まぁ……めっちゃ急いだから」

「ていうか、猫宮さんは?」

「……気づいたらいなかった」


階段を下りてきた蓮見くんの疑問の言葉に、しらっとした顔でそんなことを言い放った宇佐美くんの声に続いて――階段の下から「宇佐美―! アンタ何一人で走って行ってんのよ!」と、つっこちゃんの怒った声が聞こえてくる。