「う、宇佐美? おい、お前どうしたんだよ……?」


普段クールな宇佐美くんが突然泣き出すだなんて、誰も想像していなかっただろう。


宇佐美くんと比較的仲の良いクラスメイトの男の子が、恐る恐る声を掛けている。

けれど宇佐美くんは男の子の声に反応することなく、ただただ真っ直ぐに私を見つめている。


「ねぇ、何で? 替わるなんて言わないでよ。夏目さんの隣は、俺だよね……?」

「えっと、あの……」


宇佐美くんが何を言っているのか、訳が分からなくて……いや、言っている意味は理解できるんだけど、何故私は宇佐美くんに引き止められているんだろう。

というか、目の前にいる彼は、本当に宇佐美くんなのだろうか……?


だって、今まで意地悪されたり、無視されたりと嫌な態度をとられた記憶しかないから……あまりの変わりように戸惑うことしかできなくて、私の口から洩れるのは意味をなさないような単音ばかりだ。