「はい、お二人さんもどうぞ」


空き箱を持った部長さんが私たちのもとにやってきた。

お礼を言って、チョコパイの空箱からくじを一枚引く。


そうっと紙を開いて中に書かれている数字を確認すれば、そこにはネームペンで書いたのであろう太くて達筆な字で“5”と記されている。


――できれば、なるべく話しやすそうな男子がいいなぁ。とりあえず、宇佐美くん以外の男の子だったら安心かも。

だって、結局宇佐美くんが私のことをどう思っているのかははっきりしていないし……もし私が嫌われたままだとしたら、私一人その場に置いて行かれる未来しか見えないんだもん。


「おれ三番だったわー」

「ゲッ、オマエとかよ!」

「よっしゃー! おれ夏美ちゃんと一緒―!」

「はぁ? ずりぃぞオマエ!」


ペアを見つけてわいわいと賑わっている集団を横目に、私も自分のペアを探そうと辺りを見渡していれば――背後からぬっと人影が現れて、声を掛けられた。

耳元近くで聞こえた声に驚いて、ビクリと肩が跳ねあがる。


「夏目さん、何番だった?」


真後ろに立っていたのは、宇佐美くんだった。

お風呂から上がったばかりなのか、よく見ればその黒髪は、まだ少し濡れている気がする。