部長が言うには、あまり騒ぎすぎないこと、明日の練習に支障をきたさないように早めに切り上げること、羽目を外して校内の備品を壊さないこと等……それらを約束することを条件として、肝試しの決行を許されたらしい。


「小夜、肝試しだってさ。楽しみだねぇ」


つっこちゃんはワクワクとした表情で男子たちの会話に耳を傾けているけど……ホラーがあまり得意でない私としては、正直楽しみよりも、憂鬱の気持ちの方が勝っていた。


――夜の校舎だなんて絶対に何か出そうだし……嫌だなぁ。

出来ることなら部屋に引きこもっていたい。


それに、男子たちの話を聞いている感じだと、人数的に考えて、女子は必ず男子とペアになってしまうみたいだ。

助っ人として参加している料理部女子三人とバスケ部マネージャー二人の人数に比べて、男子部員は二十人近くもいるのだから、それは仕方のないことかもしれないけど……私的には、普段そこまで話すことのない男子より、女子とペアを組みたいというのが本音だ。


参加を辞退するという手もあるけど……つっこちゃんや美和子部長、夏美ちゃんや三年のマネさんの表情を見る感じ、私以外の女子四人は乗り気であることが分かる。

それなのに私だけ参加しないって声を上げるのは、中々に勇気がいることだ。普通に言い出しにくい。


賑やかなムードのままに体育館の後片付けを終えて、各自夕食やお風呂を済ませて、私は結局参加を辞退すると言い出せぬまま――バスケ部員と一部料理部員は、一階の正面玄関に集まっていた。