「許可とれたぞ!」


顧問の先生のもとに行っていた男子バスケ部の部長が、体育館に戻ってきた。

その顔にはにんまりとした笑みが広がっている。


部長の言葉を耳にして、その場にいたバスケ部員からワッと歓声にも似た喜びの声が上がる。


「よっしゃ!」

「ってか五月に肝試しとか、何かウケんね」

「まぁ、これもいい思い出になんだろ。休みも練習頑張ってんだし、これくらいの娯楽は楽しんだっていいじゃん?」


合宿二日目の練習も終わり、体育館の後片付けをしていた最中。

今夜、校舎内で肝試しをしないかと言い出したのは誰だったのか――それは定かではないが、話はみるみるうちに広まって、ノリの良さそうな男バスの部長が代表として、今顧問のもとに許可を取りに行っていたのだ。