「小夜、大丈夫? 私がちょっと先輩に呼ばれて見ていない間に……!」


つっこちゃんは昨日私が宇佐美くんを避けていることも知っていたから、二人きりでいることを心配して駆けつけてくれたんだろう。本当に優しい友人だ。


「うん、大丈夫だよ。ありがとうつっこちゃん」


私はつっこちゃんと話しながらも、つい宇佐美くんの方に視線を向けてしまう。


――宇佐美くんに避けないでって言われたけど、普通は嫌いな子にそんなこと、言わないよね? もしかしたら宇佐美くんは、私のことを嫌っているわけではないのかな? 

でも、それならどうして……今まで無視されたり、冷たい態度ばかりとられていたんだろう。


考えても分からなくて、でも臆病な私は、本人にそれを聞く勇気もなくて。


宇佐美くんに対してモヤモヤとした疑問が残ったまま、つっこちゃんと体育館に戻り、部員のドリンク準備にあたったのだった。