気まずい沈黙が流れる中、それに耐えられなくなったのは私の方で、頭の中でパッと思いついた話題をそのまま口に出した。


「あの、でも、私が付き添うより……夏美ちゃんの方が良かったんじゃないのかな? そもそも私、正式なマネージャーでもないから、その……関係ないと思うし」


夏美ちゃんなら、マネージャーだからテーピングの巻き方も知っていそうだし、何より宇佐美くんの幼馴染なのだから、気兼ねなく頼みやすかったんじゃないだろうか。

それに、嫌いな私をわざわざ付き添い人として選んだ理由が分からなくて……少し冷たい言い方をしてしまった。


……怒らせてしまっただろうか。

そう思って、言葉にしてしまったことをすぐに後悔した。


だけど宇佐美くんは、あまり気に留めていない様子だった。

怒っているというよりは、何だか――拗ねた子どものような顔をして、唇を小さくムッと尖らせている。


「でも、突き指した原因は……夏目さんにもあるから、関係なくない」

「えっ、私のせい?」


――私、何かしたっけ? 私が合宿に参加してしまって、目障りだったとか? 集中できないとか、そういうことだったりするのかな……?


浮かび上がってくるのはマイナスな考えばかりで、私はとりあえず頭を下げて謝った。