合宿二日目。それは練習中に起こった。


「遥翔、大丈夫か?」


体育館の端っこで、宇佐美くんを含めた数人の部員が集まっている。彼らは今半面コートで練習試合をしていたはずだったけど……どうしたんだろう?

気になって、声の聞こえるそばまで近寄ってみた。

騒ぎに気づいた夏美ちゃんも駆け寄っていって、心配そうな面持ちで声を掛けている。


「遥翔、どうしたの?」

「……軽く突き指した」

「え!? ちょっと、大丈夫なの?」

「別に、問題ない」


話を聞いた感じ、どうやら宇佐美くんが突き指をしてしまったらしい。

「とりあえず保健室でテーピングしてもらってこい」との先輩からの言葉に、宇佐美くんは腰を上げて保健室へ向かっていく。


――あっ、目が合ってしまった。


サッと視線を逸らして、私も自分の仕事をするべくその場を離れようとすれば……後ろから、誰かに腕を掴まれた。