「あのね、実は……小夜ちゃんに話したいことがあるんだ。皿洗いが終わったら、少しだけ時間をもらえないかな?」

「え? わ、私に?」


――話したいことって何だろう。やっぱり、宇佐美くんに関する話だったりするのかな。私が宇佐美くんのことが好きだと勘違いしていて、あまり仲良くしないでほしいとか、そういう話なんじゃないだろうか?


「あの、藤崎さん……」


誤解を解こうと口を開いたけど、藤崎さんは「あっ」と声を漏らして、申し訳なさそうな顔をする。


「ごめんね。私、体育館に新しいタオルを届けに行かないとで……またすぐに戻ってくるから」


そう言って、あっという間にこの場からいなくなってしまった。