「え、宇佐美くんイケメンすぎない?」

「そういえば宇佐美のやつ、前の席替えの時、夏目さんにやたら絡んでなかった?」

「あ、そういえばそうだったよな! ……え、ってことは夏目さんと隣になりたくて泣いてたってこと……!?」

「マジかよ。めっちゃ夏目さんのこと好きじゃん」


否応なしに耳に飛び込んでくる私たちを噂する声に、恥ずかしさでいっぱいになった私は顔を伏せた。

宇佐美くんは私の机の前にしゃがみ込んで、顔を覗き込んでくる。


「もしかして夏目さん、怒ってる?」

「……ううん、怒ってないよ。ちょっと恥ずかしくなっただけ」


不安そうな顔をしていた宇佐美くんだったけど、私の言葉を聞いて安心した様子で微笑んだ。


「それならよかった」


ほわっと花がほころんだような笑顔。いつも無表情でいることが多い、クールな宇佐美くんの柔らかな微笑みを目にしたクラスメイトの皆は、一様に驚いているみたいだ。