「マジかよ!」

「えぇ、宇佐美くんのこと、私も狙ってたのに……!」

「え、ってかあの二人、いつから付き合ってたんだろ?」


驚愕の声から嬉々としたもの、憂いをはらんだ声まで……辺りでは多種多様なささやき声が飛び交っている。


「宇佐美くん……」


たまらず宇佐美くんを、ジト目で見上げてしまった。

宇佐美くんは“どうしたの?”とでも言いたげな表情で首をかしげる。


「そんな大きな声で言わなくても……」

「何で?」

「何でって、普通に恥ずかしいし……」

「恥ずかしいことなんてない。むしろ俺は、夏目さんが彼女なんだって皆に自慢したい」


宇佐美くんは、少女漫画にでも出てきそうな甘い台詞を躊躇なく口にした。それを聞いたクラスメイトたちはますます色めき立つ。