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「ねぇ、もしかして夏目さんってさ……宇佐美くんと付き合ってるの?」


クラスメイトの女の子からそんな質問をされたのは、宇佐美くんとお付き合いをはじめて三日が経った、授業の合間の休み時間でのことだった。

席は離れてしまったとはいえ、宇佐美くんは休み時間のたびに私の席まで来てくれるから、クラスメイトの皆が疑念を抱くのも当然のことかもしれない。


「えっと……」


ジーッと探るような目で見られていることが分かる。

チラリと視線を右方向にずらせば、そばにいる他のクラスメイト(特に女の子たち)も、聞き耳を立てているのが分かった。


「そう、付き合ってる。夏目さんは俺の彼女だから、変なちょっかいはかけないでね」


あちこちから突き刺さってくる視線に気圧されていれば、耳馴染みの良い低い声が鼓膜を揺らした。

後ろに顔を向ければ、隣のクラスの男の子に呼ばれて席を外していた宇佐美くんが立っていた。クラス全体に聞こえるような声量で言い放った宇佐美くんの言葉に、普段よりいくらか静まっていた教室内が、一気に騒めきだす。