「ねぇ。苺みるくって、何の話?」


私と蓮見くんの会話が聞こえたのか、言い合いを止めた宇佐美くんが近づいてきた。


「えっと、それはね…「それは俺と夏目さんの秘密だよ。ね、夏目さん?」


お茶目にウィンクした蓮見くんに顔をのぞきこまれる。そうすれば、宇佐美くんの機嫌が、みるみる悪くなっていくのが分かる。


「おっとー、まさかのここにも伏兵(ライバル)がいたとはね」


後ろで大賀美くんが何かつぶやいていたけど、拗ねたような顔をした宇佐美くんに詰め寄られていた私の耳に、その言葉が届くことはなくて。


「……もう、泣かせるなよ」


どこか晴れやかな表情をした蓮見くんが、宇佐美くんの背中をぽんと叩いた。