「大賀美くん、この前は、大賀美くんの気持ちも知らないで無神経なことを言っちゃって……本当にごめんなさい」

「ううん、それはいいんだ。あの時言った言葉は全部本心だし、後悔なんて一ミリもしてないから」


大賀美くんは、私の答えが分かっているはずなのに、それでもこうして気持ちを伝えてくれた。それに対して今の私ができることは――大賀美くんの思いに、誠意をもって、きちんと向き合うことだ。


「……大賀美くんの気持ちは、すごく嬉しい、です。でも私には、大好きって思う男の子がいるから、大賀美くんの気持ちに応えることはできません。……ごめんなさい」


大賀美くんの目を真っ直ぐに見つめながら、自身の想いを伝える。


「……うん。小夜ちゃんの答えは分かってたんだけどね。それでも、伝えないまま後悔したくなかったからさ」


大賀美くんは、人差し指で頬をかきながら、へらりと笑う。


「それに俺、諦めるつもりはないからね」

「……え?」


思わず聞き返してしまえば、大賀美くんはその顔に、不敵な笑みを浮かべる。


「だって好きって気持ちは簡単には消せないし、諦めるような軽い気持ちで、小夜ちゃんに好きって伝えたわけじゃないよ。チャンスがあれば奪いにいくからさ。……ということだから、よろしくね、宇佐美ん」


大賀美くんは、視線を私の後方に向けた。