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「お、きたきた。小夜ちゃ~ん!」


放課後、帰りのHRが終わったと同時に教室を出て外に行けば、校門のそばに、ウチの学校とは違う制服を着た男の子が立っている。


下校する女子生徒たちからチラチラ視線を向けられているのは、大賀美くんだ。

見慣れない制服姿がめずらしいのもあるだろうし、大賀美くんがカッコいいからっていうのもあるだろう。


だけど大賀美くんはそんな視線にも慣れっこみたいで、特に気にする素振りもなくニコニコと手を振っている。


「大賀美くん、待たせちゃってごめんね」

「ううん、全然待ってないよ。俺の方こそ、急に押しかけちゃってごめんね?」


学校指定のブレザーを着崩している大賀美くんは、襟元のボタンを三つもあけていて、赤いネクタイもゆるめている。

この前会った時はジャージを着ていたから、制服姿はどこか新鮮に感じる。