「……夏美、よくやった」

「っ、宇佐美くん!?」


突然背後から声がしたから、驚いてしまった。

振り返れば、気配もなく後ろに立っていた宇佐美くんは、夏美ちゃんに向かって、ちょっぴり上から目線にも感じてしまいそうな褒め言葉を投げかける。


宇佐美くんの言葉に、夏美ちゃんはムッと唇を尖らせた。


「なーにがよくやったよ! 遥翔、分かってるとは思うけど……小夜ちゃんのこと泣かせたら許さないからね!」

「夏美ちゃんの言う通り。もし小夜のこと泣かしたら……私がぶん殴りに行くからね」


夏美ちゃんに続いて、つっこちゃんまで怖い顔をして、睨むようなまなざしで宇佐美くんを見つめている。


「……分かってる。もう、絶対に泣かさない」


女子二人からの厳しい視線を一身に受けた宇佐美くんだったけど、その表情を変えることなく、真剣みを帯びた声音で応えた。

次いで宇佐美くんの瞳が、私に向けられる。


「泣かさない」と、真っ直ぐに目を見て告げられた言葉に、身体がじわじわと熱を持ち始める。