「……それなら俺、これからも夏目さんに話しかけてもいいの? これからもずっと……夏目さんのこと、好きでいてもいいの?」

「好き、って……宇佐美くん、私のことが好きなの……?」


目元をこすっておずおずと顔を上げる。

確かに耳に届いた“好き”の言葉が信じられなくて、涙で濡れた呆けた顔のまま宇佐美くんを見上げる。

私の目の前までやってきた宇佐美くんは、ほっそりした指先で、私の頬を伝う涙を優しく拭った。


「……うん、好きだよ」

「それなら、どうして……昨年まで、ずっと冷たかったの? 無視したりしてたのも、わざとだよね?」

「それは……」


宇佐美くんは下唇をぎゅっと噛みしめる。だけど小さく息を吐いて、何かを決心したかのような面持ちで私の目を真っ直ぐに見つめた。

宇佐美くんのダークブラウンの瞳に、不安に揺らいだ私の顔が映っている。