「小夜ちゃん大丈夫?」

「だ、大丈夫だけど……何でいきなり……?」

「ん? だって小夜ちゃん、前会った時と雰囲気が違うからさ。元々かわいかったけど、今は何ていうか……すっごく女の子だなって顔してるし」

「……それって、どういう意味?」

「つまり恋してる女の子は、もっとかわいくなるってことだよ」


大賀美くんは質問しておきながら、私に好きな人がいることを知っているような顔で話している。

私ってば、そんなに分かりやすい表情してるのかな……。


「その、確かに好きな人はいる、よ」

「……そっか。そいつにもう告白はしたの? それとも、向こうから先に言われた?」

「こ、告白!? ううん、してないよ! あのね、その人には、他に好きな子がいるみたいなんだ。だから私が思いを伝えても、迷惑になるんじゃないかなって思ってて。……あ、でもね、これからも友達として、せめて普通に話せるようになれたらいいなとは思ってるんだけど」

「でも小夜ちゃんは、そいつのことが好きなんでしょ? 無理に諦める必要なんてないと思うけどな」


大賀美くんは座っているブランコを少しだけ揺らしながら、茜色に染まった空を見上げて、目を細める。