「え~、そうかな? でも俺、彼女ができたことはあるけど、思ってたイメージと違ったって、すぐに振られちゃうんだよね。部活ばっかで放課後一緒に帰ったりとか、休みの日のデートとかも、しょっちゅう行けるわけじゃないからさ。前付き合ってた子にも、バスケと私どっちが大事なの~って言われちゃったしさぁ」


大賀美くんはサイダーを飲みながら、笑って話しているけど……本当は辛かったんじゃないかなって、そう思ってしまう。


この前の試合を見て思ったけど、大賀美くんは、バスケがすごく好きなんだろうな。


周りに比べると少し大人っぽくて、いつだって緩やかに笑っていることが多い印象だけど、試合をしている時の表情はすっごく真剣で、でもゴールを決めた時の嬉しそうな笑顔は、いつもの笑っている顔と全然違っていた。

パッと花が咲いたみたいなその表情は、クラスの男の子たちがはしゃいでいる姿と同じ年相応な笑顔で、すごくきらきらして見えたんだ。


「私は、大賀美くんのバスケに対して一生懸命なところ、すごくカッコいいと思う。だから、そういうがんばり屋な大賀美くんのことを好きって思ってる女の子だって、絶対にいると思うけどな」


私の言葉に、大賀美くんは驚いたみたいに目を丸くしたけど、すぐに口許を緩めて笑った。