「小夜、残りの型抜き作業任せてもいい? ちょっと連絡取りたい相手がいてさ」

「? うん、大丈夫だよ」


つっこちゃんは手を洗ってポケットからスマホを取り出した。作業台の下で、誰かにメッセージを打っているみたいだ。

私はにゃー美ちゃんのシルエットにそっくりだと思って買った型抜きを生地に押し当てながら、宇佐美くんのことを考えた。



「……でも、俺がさっきの女子を好きになることは、絶対にないよ。期待を持たせるようなことを言う方が、俺は残酷だと思うけど」



あの時の、宇佐美くんの言葉を思い出す。

私が告白しても、確実に振られてしまうだろうな。
もしかしたら宇佐美くんの気分を害してしまって、もうしゃべれなくなるどころか、以前のように無視される日々が待っているかもしれない。


だけど……つっこちゃんの言う通りだ。

言葉にしなきゃ伝わらない。この思いは胸の中でずっと大きくなっていくばかりで、伝わらない思いは寂しくて、ただただ苦しいままだ。


もしまた無視されてしまったとしても、冷たくされても、今度は逃げないで、諦めないで、私の方から宇佐美くんに声を掛けよう。

勇気をだして――宇佐美くんに、思いを伝えるんだ。