「それじゃあ夏目さんには、これをあげる」


そう言った蓮見くんが手渡してくれたのは、ピンク色のパッケージのジュースだった。苺と牛乳の絵が、かわいらしくプリントされている。


「えっと、私がもらっちゃってもいいの?」

「うん、もちろん」

「……ありがとう。私、この苺みるくが好きなんだ。たまに買っちゃうの」

「うん、知ってるよ」

「え?」

「夏目さんが飲んでるの、見かけたことがあったから、好きなんだろうなぁって。苺みるくを飲んでる夏目さん、すごく幸せそうな顔してたからさ」

「……私、そんなに間抜けな顔してたかな?」

「あはは、間抜けっていうよりは……そうだな、ふにゃんって顔をしてたかな。すっごくかわいい顔だったから、大丈夫だよ」


蓮見くんは、私が苺みるくを好んで飲んでいたことを知っていたみたいだ。

甘い笑みを浮かべてサラリと告げられた“かわいい”の言葉に、嬉しさと照れの感情が同時に込み上げてくる。