「夏目さんと隣の席になれて、嬉しかったよ。ありがと」

「……うん。こちらこそ」


正直初めの頃は、宇佐美くんの隣の席になるだなんて、どんな意地悪をされるんだろうって怯えていたけど……宇佐美くんに意地悪をされたことなんて一度もなかった。

むしろ、宇佐美くんはいつだって優しくて……教科書を見せてくれたり、私の他愛ない話にも、楽しそうに耳を傾けてくれた。


この前ゲームセンターで獲ったにゃー美ちゃんのストラップも「おそろい」って、わざわざペンケースにつけてくれている。

宇佐美くんが数学が得意なことや、意外と甘いものが好きだってことも、この席になって初めて知った。


――宇佐美くんの隣の席になれたから、知らなかった一面をたくさん知ることができた。

宇佐美くんのことを、もっと知りたいと思うようになったんだ。