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「それじゃあ、今日は席替えをするぞー」


朝のHRの時間。佐藤先生が放った一言に、教室内は一気に騒めきだす。


「マジかよ~。おれこの席気にいってたのに」

「次も近くになれるといいね!」


クラスメイト達のおしゃべりを耳に入れながら、私の意識は隣の席に座っている宇佐美くんに一直線に向いていた。


そっと右隣を窺えば、宇佐美くんも私のことを見ていた。

視線を合わせたまま、何を話したらいいのか分からなくて黙っていれば、宇佐美くんは柔らかく微笑む。